岸駒像(がんくぞう)

岸駒(姓がきし・名がこま)は江戸後期の絵師です。鳥獣、特に虎の絵を得意とし、独自の画風を確立しました。代表作に「猛虎図」(前田家像)「虎に波図屏風」(東京国立博物館蔵)などがあります。また、岸派を形成して多数の門人を形成しました。

心城院は岸家の菩提寺であり、岸家代々の墓があり、岸駒像が岸駒堂にまつられています。

この像は岸駒が亡くなった一年後の天保十年(一八三九年)に弟子たちによって作られました。

平成十年には、アメリカのワシントン博物館で行われた江戸展に、江戸時代の彫刻を代表する作品の一つとして出品されました。

※普段公開はされておりません。

岸駒堂(がんくどう)

京都市指定文化財

岸駒堂は岸駒像を安置するために建てられた小堂で、心城院本堂の北側にあります。

当建築は大正12年の建築で、設計者は阪谷良之進です。彼の手がけた建築物には、知恩院納骨堂、平安神社大鳥居などがあります。

堂は、低い基壇上に建ち平面は正方形とし、内部を前後2区に分け、前方を吹き出しの拝所に、後方を内陣とし像を安置しています。そのような形の小堂はあまり例がなく貴重です。

また、細部の造形は、文化財修理技師であった阪谷の意向で古代や鎌倉時代の意匠を取り入れた復古主義的な面があります。当建築は、その伝統意匠を再解釈の上、新しい造形との融合を図ろうとする古建築技術者の意欲の感じられる建築物です。